時差ボケ旅行記-タクシーを通して見える世界-

昔、アメリカに暫く滞在しているころの話だが、向こうの大学の教授に言われたこんなことを未だに覚えている。

その国、その街の経済状況、ミドルクラスからロークラスの人たちの平均教育レベル、マナー、習慣、思考、危険性などを理解したければその土地の5台のタクシーに乗ればすぐにわかる

と言うのだ。

その当時はあまり言っている意味がわからなかったが、つまり、それぞれの国土地のタクシーに乗ると、タクシードライバー、車体の状態メンテナンスの状況、料金、運転技術、運転の仕方などから、その国その土地そのものが見えたり経済状況がわかり、人間性が露見していてその街の危険性までわかると言うのだ。

この内容をタクシーのドライバーの方が読んで気分が悪くなったら申し訳ないのだが、本当にこれがあるあると感じるかどうかも含めて最後まで読んでみてほしい。

例えばこれを東京に当てはめてみると、どの会社のタクシーを乗っても海外と比べタクシードライバーとのトラブルが起きる率はかなり低い。つまりこれは日本人の人間性を表している。

言葉はどうだろうか?

残念ながら英語、外国語を話せるタクシーのドライバーは極端に少ない。これは教育レベルを表している。

まあ、日本という国は特殊だ。ほとんどの所得層はピラミッド型分布図でも極端に真ん中に集中しているし、とんでもなく貧しい人もいなければ異常な金持ちもほとんどいない。これは世界を見渡してもこのような国は稀有だ。

そして日本人特有の考え方の一つでもある、平均所得、平均年収という考えの多用これが他の国と大きな感覚のズレを生じている。

現在の日本の平均所得はで、私はだ

とか。海外の事情と比べると、

タイの平均所得は月給で9万だから貧しい国だよね!

などと口にしたりすることも稀ではない。

そもそも、

この平均所得の考え方は海外ではまったくと言っていいほど通用しない。

平均所得とは国民全体の収入を均しているだけにすぎず、その国に住む人たちの実態は何も見えない。

タイなどに行けば、

恐ろしい金持ちが山ほどいるし、日本人が旅行で遊びに行くと現地の若いセレブの子達が行くようなクラブなどは異常に値段が高すぎて無理無理!!となってしまうこともあるわけだ。

つまり、それだけ所得階層のピラミッドの幅が非常に広く、それぞれの階層に多くの人が散らばっている。

それは悪いことではない。日本人はこれを一見し、貧富の差がある!とだけ思いがちなのだが、これはどの階層でも生きていける街であるということを示している。

上の階層に上がりたければ上がることもできる。そこまで欲がなければ物凄い安い生活だってできる。

一方日本は、特に東京は生活レベルを上げるのも難しければ下げることもまた異常に難しい。ある程度の収入がないと生活がろくにできない。東京で月収3万円での生活は困難極まりない。

話をタクシーに戻して。

日本のタクシーが世界と違うのは圧倒的なそのタクシー料金の高さだ。これは他の国とは比べ物にならない。恐ろしく高い。初乗りの金額もそこそこ高いが、長い時間乗っていると更に恐ろしい金額になっていく。これも日本で生活をして行く上での困難性をかなり表している。

昔の東京はタクシーでボッタクリに合う話もちらほらあったが、ここ近年ではかなり減少した。その被害数は全国的に相当減っているわけだ。そしてドライバー全般、親切な人が他の国に比べて圧倒的に多い。これは日本の治安の良さとトラブルの発生率を表している。

まあ世界から見ると日本が、特に東京が異常なのであってこれはかなり珍しいケースと言える。

これらのことは日本のタクシーの資格制度の状況も、大きく関わってきているのだろう。

海外では運転ができれば誰でもタクシーのドライバーになれる国も少なくない。日本はライセンスを取得するだけでもかなりハードルが高い。もちろん金もかかる。ここも海外に比べて随分と違うわけだ。

香港などでタクシーに乗ると、もはや中国語ですら通じない時もある。たまに英語で話してもダメ。中国語で話してもダメ。で、よくよく掘り下げて行くとモンゴルから来た!とか。こんなことは海外では日常茶飯事なこと。つまりこれはその都市における移民の率を表している。

さて、このアルバニアという国はどうなのか。いくつかのタクシーに乗ったがわかりやすい。まず、メーターを回すタクシーと回さないタクシー。この時点で既におかしい話なのだが、

メーターを回さない

ドライバーの言い値

ということになる。距離などは関係ない。ドライバーの判断に基づき、その乗客が地元の人間か外の人間か、はたまた金を持ってそうかどうか、トラブルになりそうかで料金を決めるということだ。

これもこの国では当たり前のようだ。

メーターのないタクシーには乗っちゃダメですよ

と現地の友達に忠告されたのだが、ホテルでタクシーを呼んでもらうと、大概このメーターを回さないタクシーが何故かやってくる。

そしていわゆる旅行者がよく言うボッタクリタクシーとして、通常の3倍から5倍ほどの値段を請求されることもある。

これもこの国のローミドルクラスの人たちの思考習慣と呼んでもいいだろう。

相手を見て値段を決めるこのシステムが存在するのは後進国ならではの文化だが、ボクはこのシステムが悪いとは思っていない。そもそもボッタクリという言葉は交渉ができない結果出て来た言葉に過ぎない。

まあ、過去には加熱しすぎて喧嘩になったこともあるのだが、基本的には客とドライバーのお互いが交渉をすることに面白みがあると感じている。納得行くまでかなり話し込む。別に揉めることが好きなわけではない。

相手が言ってくるよくわからない金額をどこまで下げられるのか?というところに面白さをいつも感じてしまうわけだ。

多くの日本人はこれを嫌うがこれはビジネスの基本として捉えるべきだ。金の交渉ができないヤツにビジネスはできない。タクシーの料金の交渉もできないで、どうして他の大きな交渉ができるのだろうか?金額の交渉そのものを汚いとかという言葉で表現する者は単なる甘ちゃんでしかない。

さてまたタクシーの話に戻して。

このアルバニアの首都ティラナのドライバーも、まともに英語を話せる人は非常に少ない。これはこの国のローミドルクラスの人たちがほとんど英語を話さないことを表す。

だが、メーターをつけているかそうでないかに関わらず、タクシーのドライバーはみんなかなり親切でおおらかだ。運転も非常に優しい。アグレッシブな運転はほとんどしない。

というよりも、渋滞もまったくないのでアグレッシブな運転をする必要がない。

つまり、この街の人たちは人間性は非常におおらかでギスギスしていないことを表している。

正直、今回タクシーに乗って嫌な思いは一度もしていない。ウクライナの後だからというのもあるのだろうか。

ウクライナは確かに酷かった。

タクシードライバーはいつも怒鳴り散らしていた。まったくと言っていいほど客のことを気にしていなければ、何を急いでいるのか異常に飛ばす。

そして必ず信号待ちの時に気に入らないクルマがあるとそのドライバーを睨み、ひどいタクシーになると窓を開けて文句をずっと叫んでいる。そのクラスの人間性がよくわかる。

世界的に見るとこういったことも含めタクシードライバーとのトラブル、態度の悪さ、値段とサービスの差などの問題からUberなどの新しい事業が始まり世界的に爆発したわけだ。

今回ニューヨークのUberのドライバーに教えてもらったことだが、すでにニューヨークだけでもUberを追従する会社が5社ありそれぞれが結構使えるようになっているとのこと。

世界的に見ても、アジア圏ではUbetより他のロケットベンチャーのGlabの方が主流だったりもする。

こういった流れは、改善されないタクシーに対する不満なども上手に成功したわけだ。ことUberに関しては今世紀最大の成功とまで言われている。

まあ、日本ではほとんどなじみのないUberも世界ではこんな感じだ。

それにしても、

この街は非常にゆったりとしている。このユッタリ感がたまらない。うーん、もうちょっと長くいたかった。

明日にはもう移動しなければならない。

また来よう。この街にまた来よう。

それにしても疲れた。今日もかなり街を歩いてしまった。膝がすこぶる痛い。

さて、

タクシーに乗ってホテルに帰ろう。